活用事例
ケーススタディ特集:Uber / Motive / Komatsuが語る“内製の速度と効果”

概要
Retool Summit 2025では、世界的に内製化(In-house Development)を進める企業が多数登壇しました。その中でも注目を集めたのが、Uber、Motive、Komatsuの3社が語った「スピードと効果を両立する内製体制」です。
本記事では、各社の導入パターン・効果(Time to Market短縮、運用負荷軽減)・組織設計を整理し、日本企業が同様の内製アプローチを取る際に意識すべきポイント(権限管理・監査・データ連携)を解説します。
1. 背景:なぜ「内製」が再び注目されるのか
クラウド化・SaaS多用が進む中でも、業務要件の変化に即応できる“現場発の開発力”が求められています。外部委託では対応しきれないスピードやデータ横断性を確保するために、グローバル企業は「Retool」などのローコード基盤を中核とした内製プラットフォームを整備しています。
内製化の再定義とは、
“すべて自前で作る”ことではなく、
“事業部門が自ら業務を動かせる速度と安全性を手に入れる”こと。
その象徴的な実践例が、今回紹介する3社です。

Retoolサミット2025での登壇者 左から
Burger Ebersohn(Global Head of Partner Engineering, Uber Direct)
Eric Cheng(Enterprise Architect, Komatsu Australia)
Hamish Woodrow(Head of Strategic Analytics, Motive)
2. Uber:複雑なオペレーションを“可視化+実行”で自動化
導入パターン:
Uberは配送・ドライバー管理など多層的なオペレーションをRetool上で統合。
社内チームが自作したアプリが1,000種類以上にのぼり、各部署が自律的に“現場の意思決定アプリ”を構築しています。
効果(推定):
開発期間の短縮: 以前は6〜8週間かかっていた社内ツールが、数日〜1週間で実装可能に。
運用負荷の軽減: アプリのホスティング・監視・アクセス管理をRetoolが担うため、インフラ運用をほぼ不要化。
セキュリティ統制: OAuth連携・RBACで権限分離を実現し、SaaS連携も監査対象に統合。
組織設計のポイント:
各チームに「internal developer(内製開発担当)」を配置し、Retoolを通じてエンジニアでなくても業務アプリを自作できる文化を形成。開発・運用が現場主導で回る体制を実現しています。
3. Motive:データドリブンな“オペレーション自動化”の基盤
導入パターン:
IoTデバイスとAI解析を扱うMotiveでは、社内データを横断的に操作できるオペレーション自動化レイヤーとしてRetoolを導入。Salesforce・Snowflake・PostgreSQLをRetool経由で統合し、Workflowsで自動ETL/レポート生成/アラート対応までを内製化しました。
効果(推定):
Time to Market(TTM)短縮: 分析ダッシュボード構築にかかる期間を約60%削減。
運用負荷低減: コードメンテナンスからノーインフラ運用へ移行。
部門間連携: Dataチーム・Opsチーム間で同一UI上の“共通操作体験”を実現。
組織設計のポイント:
「Ops×Data×Dev」のクロスファンクショナルチームを固定化せず、Retool上で共通フレーム(フォーム・テーブル・Workflows)を再利用することで、チーム横断でスピーディに改善を回せる仕組みを採用しています。
4. Komatsu(コマツ):現場の業務効率とデータ品質を両立
導入パターン:
製造・保守・ロジスティクスを扱うKomatsuは、Retoolを用いて現場データの収集・検証・更新を一元化。従来はExcelやAccessで行っていたメンテナンス業務を、クラウドベースの業務アプリに移行しました。
効果(推定):
現場入力の効率化: オフライン対応・モバイルアプリ化で入力作業を約50%削減。
データ品質向上: 入力バリデーション+Workflowsによる重複チェックでエラー率を大幅に低減。
現場主導の改善サイクル: “使う人が作る”内製型PDCAが定着。
組織設計のポイント:
情報システム部門がRetool管理者としてガバナンスを担い、現場チームがアプリを構築・運用する「分散開発モデル」を採用。現場ニーズへの即応性と全社統制の両立を図っています。
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5. 共通点:スピードだけでなく“安全に動かせる仕組み”を設計
3社の共通項は、「スピードの裏にあるガバナンス設計」です。
要素 | 内容 | Retoolでの実装例 |
|---|---|---|
権限管理 | 部門・職種単位で操作権限を細分化 | RBAC / SSO連携 |
監査 | 実行ログ・アクセス履歴を自動保存 | Audit Logs / Workflows Logs |
データ連携 | 社内DB・SaaS間の統合 | PostgreSQL, Salesforce, BigQuery など |
継続改善 | 現場でアプリ更新・再デプロイが可能 | Version Control / One-click Deploy |
これにより、“スピードとセキュリティを両立する内製基盤”が成立しています。
6. 日本企業への示唆:横展開の勘所
日本企業が同様の内製体制を築く際には、以下の3点が鍵となります。
権限設計:最小権限・部門分離・ログ追跡を前提に設計する
監査性の確保:更新履歴・承認ワークフロー・Slack連携などで透明性を担保
データ連携戦略:業務DBだけでなく、SaaS・外部APIを含めた横断設計を行う
内製を“高速に・安全に・持続的に”運用するためには、プラットフォームと運用ルールを同時に設計することが重要です。
7. まとめ:スピード×ガバナンス=内製の新たな競争力
Uber、Motive、Komatsuの共通点は、「技術ではなく体制でスピードを出す」という発想にあります。Retoolは、その体制づくりを支える「エンタープライズ内製のOS」とも言える存在です。
コードを減らすことではなく、
「業務が動くまでの距離」を縮めること。それが今、世界の内製化の本質です。
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